伊吹山とその山麓で見られる野鳥たち

湖北地方の探鳥地といえば、びわ湖岸の湖北野鳥センター周辺や、西池、三島池が有名ですが、伊吹山とその周辺でもたくさんの野鳥が観察できます。かわいい小鳥たちはもちろん、山頂付近では、春と秋にタカ類の渡りも見られます。

ここでは、比較的観察しやすい身近な野鳥のいくつかをご紹介します。(撮影者の許可を得て掲載していますので無断利用を禁じます。)

【イヌワシ(犬鷲)】

翼を広げると2mにもなる天空の王者。ノウサギやヤマドリ、ヘビなどを捕まえて食べます。伊吹山は全国的に有名なイヌワシの観察地です。

【クマタカ(熊鷹)】

翼を広げると170cm。湖北地方でよく見られるタカの仲間で、翼の先を大きく広げて飛びます。

【ヤマドリ(山鳥)】

オスの全長は125cm。尾が非常に長く、古くから「山鳥の尾」は長いものを表す語として用いられてきました。


【オシドリ(鴛鴦)】

華やかな色のオスと、ちょっと地味なメス。「おしどり夫婦」という言葉がありますが、オスは毎年パートナーを替えるそうです。姉川ダムで見られます。

【コゲラ(小啄木鳥)】

日本のキツツキの中でいちばん小さく、スズメくらいの大きさです。「ギーギー」と鳴いて、小さな音でドラミングします。

【カケス(懸巣)】

体長33cm、カラスの仲間です。翼の一部がきれいな青色で、登山の途中でこれを拾うと嬉しくなります。


【シジュウカラ(四十雀)】

街中の公園でもよく見かけます。背中の暗緑色がきれいです。似た種類の鳥が多く、胸のネクタイマークが目印です。「ツツピー」とか「ジュクジュク」と鳴きます。

【ウグイス(鶯)】

有名な鳥で、鳴き声もよく聞きますが、なかなか見つけられません。頂上の遊歩道では、近いところでよく鳴いています。

【エナガ(柄長】

体長14cm、その半分は尾羽です。まんまる体形につぶらな瞳、小さな嘴がかわいく、人気の小鳥です。野鳥界のアイドル。


【メジロ(目白)】

目の周りが白いのでメジロ。よくウグイスと間違われますが、全然違いますね。「目白押し」という言葉は、メジロが木の枝に押し合ってとまる様子からきています。

【ジョウビタキ(尉鶲)】

人の近くに来たり、尾羽をぴょこぴょこするかわいい仕草で人気です。オスはきれいなオレンジ色で、オスメスとも翼に白斑があります。

【キビタキ(黄鶲

5月頃、夏鳥として渡来します。黄色と黒のとてもきれいな鳥で、美しく大きな声でさえずります。


【オオルリ(大瑠璃)】

夏鳥として5月頃やってきます。とてもきれいな青色をしており、人気の野鳥です。高く澄んだきれいな声でさえずり、ウグイス、コマドリとともに、日本三鳴鳥に数えらえます。

【アトリ(花鶏)】

冬鳥として渡来し、大きな群れを作ることもあります。昔はかすみ網で捕えられ、焼き鳥にされたそうです。もちろん今は禁止されています。

【カワラヒワ(河原鶸)】

翼の一部が黄色く、飛ぶ姿がきれいです。くちばしが大きく、植物の種を割って食べます。


【シメ(鴲)】

体長18cm。歌舞伎の隈取のようないかつい顔をしています。くちばしも大きく、固い植物の種を割って中身を食べます。

【ホオジロ(頬白)】

一年中よく見られる鳥です。三合目あたりの草原で、草や木の枝にとまって大きな声でさえずっているのをよく見かけます。

【アオジ(青鵐)】

ホオジロの仲間で、黄色っぽい色をしています。藪の中にいることが多く、なかなか姿を見せません。渡り鳥ですが、伊吹山で少数が繁殖しているそうです。


【キジバト(雉鳩)】

山林や公園でよく見られます。キジのメスに色が似ているためこの名があります。山の中から、ボーッ・ボッ・ボッーと鳴き声が聞こえてきます。

【ツツドリ(筒鳥)】

体長33cm、夏鳥として渡来します。カッコウの仲間で、ウグイス科の鳥に托卵します。大きな毛虫が大好きです。

【アカゲラ(赤啄木鳥)】

体長24cm。お尻の赤い色がよく目立ちます。山にいますが、冬には平地にも降りてきます。枯れ木に穴をあけて、巣を作ります。


【アオゲラ(緑啄木鳥)】

体長29cm、アカゲラより少し大きいキツツキの仲間です。背中が緑色、オスは頭頂部が赤いです。生木に穴を掘って巣を作ります。

【サンショウクイ(山椒食)】

夏鳥として渡来します。サンショウの実を食べるからサンショウクイ、ではなく、ピリリピリリと鳴くからこの名があります。昆虫やクモを食べます。

【モズ(百舌)】

体長20cm。かわいい顔をしていますが、昆虫やカエル、小鳥を襲って食べます。捕えた獲物を木の枝に突き刺し「モズのはやにえ」と言われます。


【ヤマガラ(山雀)】

お腹のオレンジ色がよく目立ちます。山だけでなく平地にも住みます。学習能力が高く、芸を覚えるため、平安時代から飼育されていたそうです。

【ヒガラ(日雀)】

体長11cm、シジュウカラの仲間では最小です。昆虫・クモ・草木の種子を食べます。チピチピチピと高い声で鳴きます。

【コシアカツバメ(腰赤燕)】

写真ではわかりませんが、腰の部分が赤い色をしています。外側の尾羽が長く、飛ぶ姿もきれいです。トックリ型の巣を作ります。


【ヒヨドリ(鵯)】

体長28cm。ボサボサ頭が特徴です。他の鳥が鳴いていないときも、ヒーヨヒーヨと大きな声で鳴き、うるさいくらいです。

【センダイムシクイ(仙台虫喰)】

夏鳥として渡来します。チュイチュイギュイーと鳴くのが、「焼酎一杯グィー」と聞こえるらしいです。メボソムシクイと似ていて、見分けるのは難しいです。

【ミソサザイ(鷦鷯)】

体長11cm、日本最小の鳥の一つですが、特徴のあるとても大きな声で鳴きます。渓流の近くでよく見かけます。


【マミチャジナイ(眉茶鶫)】

ツグミの仲間で稀な冬鳥として渡来します。アカハラに似ていますが、白い眉斑に特徴があります。

【シロハラ(白腹)】

冬になると渡来するツグミの仲間。名前のとおりお腹が白いです。地上をピョンピョンと飛んで昆虫やミミズを探します。

【ツグミ(鶫)】

口をつぐんで鳴かないことからこの名前がありますが、早春の暖かい日は、きれいな声でさえずります。昔は珍味として珍重されていました。


【ルリビタキ(瑠璃鶲)】

オスは背中がきれいな青色で、幸せの青い鳥として人気があります。若いオスはメスと似た色をしており、きれいな青色になるには2年かかるそうです。

【ノビタキ(野鶲)】

夏鳥として渡来し、秋になると湖岸のヨシ原でも観察できます。愛鳥家から、オスのノビタキは「のび太」と呼ばれます。

【エゾビタキ(蝦夷鶲)】

春と秋に、旅鳥としてやってきます。胸の縦じま模様に特徴があります。木の上から空中の虫を追って飛び立ち、捕えた後、また元の枝に戻ってきます。


【コサメビタキ(小鮫鶲)】

エゾビタキと似ていますが、お腹に縦じまはありません。体の割に大きなクリクリお目目でかわいいため人気があります。

【キセキレイ(黄鶺鴒)】

お腹の黄色がとてもきれいなセキレイの仲間。渓流沿いや水辺に棲んでいます。いつも尾羽を上下に振っています。

【ハクセキレイ(白鶺鴒)】

白と黒のツートンカラーのセキレイ。かつては冬鳥でしたが、今は年中見ることができます。畑や市街地でも普通に見られます。


【セグロセキレイ(背黒鶺鴒)】

ハクセキレと同じところにいて、姿もそっくりですが、胸から顔まで黒いのがセグロセキレイです。どこにでもいますが、日本の固有種です。

【ビンズイ(便追)】

この鳥もセキレイの仲間ですが、水辺でなく山林にいます。伊吹山系の標高の高いところで繁殖します。

【マヒワ(真鶸)】

冬鳥として渡来します。写真はメスですが、オスはきれいな黄色をしています。針葉樹や草の種などを食べます。


【ベニマシコ(紅猿子)】

冬鳥として渡来します。オスは赤い色をしていますが、春が近づくとよりきれいな色になります。猿のように赤い顔をしているためこの名があります。

【イカル(鵤)】

体長23cm。黄色くて大きなくちばしが特徴で、固い木の実を割って食べます。ちょっといかつい外見ですが、とてもきれいな声で鳴きます。

【カシラダカ(頭高)】

冬鳥として渡来するホオジロの仲間。緊張したときなどに冠羽が立つので、この名があります。チッチッと小さな声で鳴きます。


【ミヤマホオジロ(深山頬白)】

冬鳥として渡来するホオジロの仲間。写真はメスですが、オスの冠羽はとてもきれいな黄色をしています。カシラダカと同じように、興奮すると冠羽が立ちます。

【クロジ(黒鵐)】

冬鳥として渡来するホオジロの仲間。写真はメスですが、オスは黒い色をしています。やぶの中にいて、なかなか見ることができません。

【カワセミ(翡翠)】

とてもきれいな色をしており、野鳥のなかでも1,2を争う人気者です。池や川の近くに棲んでいて、小さな魚やエビなどを捕って食べます。