薬草の山

伊吹山の植物は約1,300種、そのうち薬用植物は約280種で、実際に医薬品になるもの、民間薬として使用されているものは約300種を数えると言われます。煎じたり、蒸したり、お茶にしたり、お酒につけたりと利用方法は様々です。

ごく一部を紹介します。

 【センブリ(千振)】

千回振り出しても苦い千振。生薬名の当薬は良く効き「当(まさ)に薬」の意。苦味健胃薬で消化不良等に。

【ゲンノショウコ(現の証拠)】

胃腸の良薬で飲めば効果がすぐに現れることから現の証拠。5分煎じれば便秘を、30分で下痢を改善。

【メハジキ(目弾き)】

全草を天日乾燥したものが生薬益母草(ヤクモソウ)。血流を整える効能があり婦人薬として利用。


【ノダケ(野竹)】

ゴボウの様な根を切り乾燥させたものが生薬前胡(ゼンコ)。腹部不調の改善やせき止めや痰切りに。

【イブキトリカブト(伊吹鳥兜)】

全草有毒で根に猛毒を持ち減毒加工で体を温める生薬附子に。神経痛、リウマチ、関節炎などに利用。

【クコ(枸杞)】

目や肝臓に良い生薬で薬膳粥や薬用酒に用いられ、中国では滋養強壮に良く不老長寿の薬とも。


【イカリソウ(碇草)】

全草は淫羊霍(いんようかく)という生薬で精力剤として有名。低血圧、不眠症、体を温める効果があり冷え症や腰痛症、疲れやすい人のインポテンツにも。

【リンドウ(竜胆)】

苦い薬の代表熊の胆より苦い「竜の胆」の意味。根茎や根が生薬竜胆で苦味健胃薬。消炎、解熱等にも薬効。

【オトギリソウ(弟切草)】

生薬小連翹で止血効果。これを用いたタカの秘伝薬の製法を他者に漏らした弟を兄が切り殺したと伝わる。


【イブキトラノオ(伊吹虎の尾)】

根茎を生薬ケンジン(拳参)と呼び、抗ウィルスに役立つ清熱解毒薬。白花が多い。全国で見られる。

【ツリガネニンジン(釣鐘人参)】

高麗人参の様に太い根を天日乾燥したものが生薬沙参(シャジン)で、激しい咳や強いのどの痛みに良い。

【ミヤマトウキ(深山当帰)】

根は血を作る生薬当帰。病んで捨てられた妻がトウキで回復し「当に帰るべし」と心中で夫に語り、戻ったと。


【カワラネデシコ(河原撫子)】

利尿を促しクバク(瞿麦)と呼ばれ、中国では全草を使い、日本では種子(生薬名クバクシ)を求められる。

【オオヒナノウスツボ(大雛の臼壺)】

紡錘状の太い根を黒い人参という意味の玄参(ゲンジン)と呼び、熱病の後の身体の滋養のために用いる。

【シシウド(猪独活)】

発汗、駆風(腹のガスを排出)、鎮痛作用があり、カゼ、頭痛、歯痛、足腰のしびれ、リウマチに用い、冷え症、神経痛には浴剤にも。


【サラシナショウマ(晒科升麻)】

根茎を天日乾燥したものを升麻(ショウマ)。漢方処方で発汗、解熱、解毒薬として配合。升麻葛根湯など。

【ワレモコウ(吾亦紅)】

根茎を乾燥させたものが生薬地楡(チユ)で古くから止血薬として利用。抗菌、抗火傷、抗湿疹作用も。

【クララ(苦良良)】

生薬苦参(クジン)は本種の根で作用の強いアルカロイドを含み服用は専門家に聞く。消炎、健胃、利尿などの作用がある。


【リュウノウギク(竜脳菊)】

全草を袋に刻んで詰めて浴槽に入れ沸かす。浴湯料として冷え症、腰痛、リウマチ、神経痛等に利用。

【トモエソウ(巴草)】

大連翹(ダイレンギョウ)と呼ばれる生薬果実を含んだ全草を煎じるなどして、清熱涼血、止血に効能。

【ウツボグサ(靭草)】

夏に花穂が褐変することから夏枯草(カゴソウ)という生薬。口内炎や扁桃炎の改善や腎炎や膀胱炎に対する利尿剤として内服。


【アキノキリンソウ(秋の麒麟草)】

全草を乾燥したのが生薬一枝黄花。健胃、解毒、鎮痛薬等に。欧米ではゴールデンロッドの名で薬用に。

【イブキボウフウ(伊吹防風)】

風邪(ふうじゃ)を防ぐ生薬。風は「突然訪れ急速に変わる」病態で軽くはカゼでその発熱、頭痛等に利用。

【キンミズヒキ(金水引)】

天日乾燥し生薬は竜牙草(果実の刺毛が内側に曲がった姿から)。止血や下痢、消炎等に。癌治療の研究も。