伊吹山のお花畑を代表していた伊吹山頂一帯は、2003年に国指定天然記念物「伊吹山頂草原植物群落」となりました。日本の中央に位置し北方系や南方系の植物、古い山で多くの固有種、石灰岩を好む植物、亜高山性の植物、多雪地帯の植物など多様な性質を持つ植物が確認できる植物の宝庫…でした。
ただし、残念ながら現状はニホンジカの食害によってかつての華やかさは失われています。
山頂は周囲3㎞におよぶ獣害防止ネットが設置され、西登山道辺りなど一部では植生の復活も傾向も見られますが、特に山頂中央部、東登山道周辺ではネットを破り侵入したニホンジカの食害が深刻で、なかなか思うように植生の再生が見られません。
【左の写真】2004年7月の6~7合目辺り。緑豊かな斜面に大柄のシシウドの白い花たちが咲き誇っていました。
【右の写真】2007年6月の5合目から山頂部を見上げた写真。一面が伊吹山の特徴でもある草原群落に覆われていました。
【左の写真】2020年7月、上の写真とほぼ同じ位置からの写真。豊かな植生は失われ、土砂がむき出しの裸地が広がっています。残った緑の植物はニホンジカの嫌いな忌避植物のみという貧相は生態系となっています。
【右の写真】2020年7月、中腹斜面は全体的に緑が失われ、特に左と右のエリアでは大規模に裸地化が広がり、深刻な植生の衰退が見られます。
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